公益財団法人岡田文化財団は、1979年設立以来、多くの皆様に支えられ、三重県の芸術文化振興に寄与してまいりました。
財団設立当時、我が国はようやく敗戦の痛手から立ちなおり、順調に発展成長してまいりましたが、経済的な成長だけが優先されて、どちらかと云えば、文化的な面が忘れられがちになっておりました。 そうした折、やはり日本人にとって大切な事は、日本の良き風土、歴史、そして文化ということに、改めて関心を高めていただく必要があるのではないかと思っておりました。
私は、三重県で育てていただいたとの強い思いの中で、何等かの形で郷里の三重県に対して、ご恩返しをしたいと考えておりました。 丁度その頃、三重県美術館建設問題がとりざたされておりましたので、この問題に対して、私なりの援助、協力をしていこうと、この岡田文化財団を設立致しました。そして、三重県立美術館へシャガールの代表作「枝」や三重県出身の日本画の大家宇田荻邨の「祇園の雨」などを寄贈してまいりました。
また、三重県には多くの伝統産業があります。 萬古焼、伊賀焼、鈴鹿墨、伊賀組紐、そして伊勢型紙などが国から伝統的工芸品に指定されています。これ以外にも県指定の伝統産業も数々ありますから、これらを振興していく目的で「財団法人ふるさと伝統産業振興岡田財団」を1989年に創立致しました。
その後、1999年に岡田文化財団と財団法人ふるさと伝統産業振興岡田財団を合併し、新しい岡田文化財団として、すぐれた芸術・美術などを鑑賞し、幅広く文化を享受していただく機会を提供してまいりました。更に、2005年4月には、小嶋千鶴子氏から美術館「パラミタミュージアム」の寄附を受け、財団が直接美術館を運営することとなりました。
現在、公益財団法人岡田文化財団は、三重県の芸術文化振興や伝統文化の継承、地域おこし、そして人材創りを目的として主に4つの事業を行っております。1つ目は三重県内での文化、伝統、芸術活動を応援する公募助成事業活動、2つ目は、クラッシック音楽等のコンサートを開催し、県民の方々をご招待し、高度な文化にふれる機会を提供する公演活動、3つ目は、パラミタミュージアムでの展覧会を実施することによる芸術へ触れる機会を提供する美術館事業、そして4つ目が、経済的理由で大学進学が困難な県内の生徒さんを支援するための給付型奨学金制度(風樹会活動)の4事業を行っています。
今後も、県民文化の向上発展を願いつつ、優れた芸術文化を鑑賞する機会の提供と、その拡大を推進し、同時に県内の伝統工芸・文化財の保存・育成と伝統産業を振興や三重県を支える人材の育成へ、更なる努力を続けて参ります。